昨今のニュースで度々話題に上がる、育児休業。
育児休業の取得率は、平成19年から80%台で推移している女性に対し、年々上昇してはいるものの男性の取得率は6%です。
また、平成27年度調査のデータではありますが、育児休業後復職者割合(育児休業を終了し復職した方)を対象とした調査では育児休業の取得期間は、女性は9割近くが6か月以上となっている一方、男性は、5日未満が56.9%、8割以上が1か月未満となっているようです。
参照:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf
男性の正社員で育児休業を利用しなかった理由については「会社で育児休業制度が整備されていなかった」といったそもそも取得ができる環境がなかった、や「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」職場の雰囲気が挙げられています。
また、「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」や「自分にしかできない仕事や担当している仕事があった」といった人員不足や仕事の属人化による理由も目立つ結果となっています。
男性の育休取得率は大きな課題で、ニュースで取り上げられるのも頷けます。
そもそもこの育児休業、詳しくどんな仕組みであるかご存知でしょうか。
育休の概要をはじめ、男性の育休取得促進のための制度なども徹底的に解説します。
育児休業の概要
まずは育児休業の概要を見てみましょう。
育児休業は、「育児・介護休業法」にて以下のように定められています。
休業の定義:
○労働者が原則としてその1歳(保育所に入所できないなど、一定の場合は、最長2歳)に満たない子を養育するためにする休業
休業の対象については条件があります。
対象労働者:
○労働者(日々雇用を除く)
○有期契約労働者は、申出時点において、次の要件を満たすことが必要
・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
・子が1歳6か月(2歳までの休業の場合は2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
その他、雇用された期間が1年未満の場合や週の所定労働日数が2日以下の場合は労使協定で対象外にできると定められています。
期間:
○原則として子が1歳に達するまでの連続した期間
○ただし、配偶者が育児休業をしているなどの場合は、子が1歳2か月に達するまで出産日と産後休業期間と育児休業期間とを合計して1年間以内の休業が可能
以上が育児休業の概要ですが、その他にも
小学校就学前の子を養育する場合に年5日を限度として取得できる「子の看護休暇」や
所定外労働・時間外労働・深夜業の制限についても「育児・介護休業法」にて定められています。
また、育児休業については条件があるのに対し、産休は誰でも取得することが可能です。
具体的に妊娠〜復職まではどのような流れになるのかもみてみましょう。
妊娠〜復職までの流れ
妊娠中:
①出産予定日や休業の予定を申し出る
②産前休業を申し出る
※出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から請求することで取得可能
産前・産後休業中:
③育児休業を申し出る
※申出期間は休業開始の1ヶ月前までのため、産後休業と続けて取得する場合には産前休業前、もしくは休業中に申し出る必要があります。
育児休業中:
④復職に向けた準備をする
※育児休業期間を延長する必要がないか考えましょう。子どもが1歳になった後に保育所に入れないなどの場合、1歳6か月まで延長が可能です。
この場合2週間前までに申し出る必要があります。1歳になる前の場合は、1ヶ月前までの申出で延長が可能です。
⑤復職後の労働条件について会社に確認をする
復職後:
⑥1歳になるまでに復職する場合に利用できる制度
【育児時間】生後1年に達しない子どもを育てる女性は、1日2回各々30分間の育児時間を請求できます。
【母性健康管理措置】医師等から指示があったときは、健康診査に必要な時間の確保を申し出ることができます。
など
⑦3歳未満又は小学校入学前の子どもを育てている方が利用できる制度
【子の看護休暇】小学校入学前の子どもを養育する労働者は、年次有給休暇とは別に1年につき5日(子どもが2人以上なら10日間)子どもの看護のために休暇を取得することができます。
【短時間勤務制度】一定の条件を満たす3歳未満の子どもを育てる労働者のために、会社は短時間勤務制度(1日原則として6時間)を設けなければなりません。
など
複数の制度あるため各制度を使用して、働きながら育児をすることとなります。
参照:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf
男性と育児休業の状況
また、ニュースで話題になる男性と育児休業についても簡単にご紹介します。
男性の取得状況は以下のようになっています。
育児休業制度があった
利用した 8.2%
利用したかったが、利用しなかった 15.3%
利用しなかった 26.7%
育児休業制度がなかった
利用したかった 20%
利用したいとは思わなかった 18.9%
わからない 10.8%
育児休業の利用希望があっても、利用できていない男性は35.3%にものぼっています。
これを受け、男性の育児休業取得促進のための制度もあります。
【パパ・ママ育休プラス】母(父)だけでなく父(母)も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2か月に達するまで(2か月分は父(母)のプラス分)に延長される制度。
【出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進】配偶者の出産後8週間以内の期間内に、父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度の取得が可能。
参照:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ひとえに育児休業といっても、たくさんの制度があることがわかりますね。
男性も女性も育休とはどんな制度があるのか、まずは「知ること」が取得率促進の向上につながると思います。
また家庭の状況によって、最適な制度があると思いますので効果的に取得しましょう。